国の研究所からスピンアウトしたスタートアップDescartes Labsは衛星画像の分析データを農業分野などに売る

合衆国政府の研究機関で7年間仕事をした連中がこのほど、深層学習(deep-learning, ディープラーニング)による画像分析を行うスタートアップ(非公開企業)Descartes Labs(デカルトラブス)としてスピンオフし、330万ドルの資金を獲得した。

Descartes Labsが主に行うのは、衛星画像を分析してそこに写っているものを理解し、それらから有意なデータを取り出す仕事だ。Descartes LabsはLos Alamos National Lab(ロスアラモス国立研究所)から昨年8月に公式にスピンオフした。

Descartes LabsのCEO Mark Johnsoはこう言う: “うちがやっているのは、ふつうの画像認識技術ではない。うちでは画像に対して物理学を適用し、犬やコーラの缶を探したりはしない。遠隔探査と天体物理学には共通の部分が多いことが、分かってきた。空でたくさんの写真を撮る場合は、センサが正しく調製されていなければならないし、それらの写真を正しく縫い合わせて、大量の分析をしなければならない[天体物理学]。そしてそのときの望遠鏡を地球方向に向けたら、(地球〜地表に対して)それとまったく同じ問題を抱えることになる[遠隔探査]”。

同社はこれから、地球全体の農業を調べ始める。合衆国などでは農業のデータが充実しているが、そういうところは全地表のごく一部にすぎない。だから、データを衛星の画像に頼ることになる。そしてそうなると、それはお役所の問題ではなくて、Descartes Labsが機械学習を駆使して取り組むビッグデータの問題になる。

衛星から来るデータは、可視スペクトルのものだけではない。たとえば赤外線領域のデータは、農作物を調べるためにとても役に立つ。

ビジネスの展望はすでにはっきりとある。たとえば衛星画像から得られる農業に関するデータは、商品取引などの業界で珍重される。彼らはその限られたデータから、世界中の主要作物の作柄を予測したりするのだ。そういうデータの質を高めることの方が、各作物の栽培や輸出入に関する大雑把なデータよりも、同社のビジネスにとって価値がある。

衛星画像の応用分野はもっと多様だが、同社はとりあえず農業からスタートすることにしている。農業の分野も、同社がやってるような大きな視野のデータは、まだどこにもないからだ。Johnsonによると、330万ドルはプロダクトを世に出すためには十分な額であり、スタートアップにつきものの多少の失敗やその修正も許される、という。

 

 

http://jp.techcrunch.com/2015/05/02/20150501deep-learning-image-analysis-startup-descartes-labs-raises-3-3m-after-spinning-out-of-los-alamos-national-labs/

画像や映像に写っている物だけでなく場面全体の状況も認識する人工知能をMITで研究開発中

MITのComputer Science and Artificial Intelligence Laboratory(コンピュータ科学と人工知能研究所)の研究プロジェクトは、画像や映像から物を認識し、さらに、その場の状況を認識する。

人間が画像を見ると、そこで今何が起きているのかをおおむね直観的に判断できる。しかし今のコンピュータビジョンや機械学習システムは、それが苦手(にがて)なため、車の自動運転とか荷物の配達などのインテリジェントなシステムの進歩を阻んでいる。状況認識に取り組んだMITの研究者たちは、これまであったシステムよりも33%高いパフォーマンスを実現したという。

今週彼らが発表した論文によると、その彼らのシステムは、画像を見て、そこで何が行われているかを判断するだけでなく、その状況を構成する個々の物も認識する。つまり、全体の認識だけでなく、個別の認識もできる。

おもしろいのは、研究者たちは自分たちの状況認識技術が約50%の認識精度を達成した理由を、正確に把握していない(なお、人間の状況認識精度は約80%)。とにかくそのシステムは画像中の何らかの視覚的特徴を拾って、それらを返しているのだ。

http://jp.techcrunch.com/2015/05/09/20150508ai-project-designed-to-recognize-scenes-surprises-by-identifying-objects-too/