三井住友銀が顧客電話応対にWatson導入

三井住友銀行は2014年11月5日、高度な自然言語処理や音声認識の機能を備えた米IBM社製の人工知能システム「ワトソン」を利用し、2015年に国内での顧客電話応対業務に順次導入すると発表した。ワトソンは医療やロボット産業、通信、小売りなど幅広い分野でグローバルな応用が見込まれており、今後、日本の金融界でも普及が進みそうだ。
三井住友銀が都内と神戸、福岡両市で運営している計3カ所のコールセンターで9月に着手した実証実験を年内に終了。検証を踏まえて年明け以降、計数百人の応対要員を対象に、自動音声対応による本人確認補助のほか、取引状況などの解析を踏まえて、要員が最適な商品・サービスを迅速に紹介できるよう支援する。
ワトソンは、人間の考え方に似た方法で情報処理を行うことが可能な次世代コンピューターとして知られる。肉声での質問を理解し、前後の文脈や曖昧な情報についても膨大な関連電子情報「ビッグデータ」を解析して短時間に推論、学習を繰り返す仕組み。自動音声も発しながら最適な回答を導き出す。

IBMがソフトバンクとワトソン日本語版開発

米IBMは2014年10月8日、人工知能型コンピューター「ワトソン」の日本語対応版をソフトバンクと共同で開発し、2015年にも事業展開する方針を明らかにした。ロボット分野でも関係を深める。次世代IT(情報技術)である人工知能コンピューターの活用に弾みがつきそうだ。

IBMは8日、米ニューヨークでIBMワトソングループ・グローバル本部の開所式を開いた。ワトソン事業を担当するマイク・ローディン氏は講演で「ワトソンの多言語化を進めており、日本語対応の基盤をソフトバンクと共同開発している」と語った。

ワトソンは情報が爆発的に増えるビッグデータ時代に、膨大な情報を分析し経営判断の前提となる選択肢の絞り込みなどに機能を発揮するとされる。人間の脳のように経験から学ぶこともできる。現在、ワトソンの対応言語は英語のみ。今後は日本語、スペイン語、ポルトガル語の対応を優先的に進める。IBMは日本語版の開発で、ソフトバンクと組んで翻訳やデータ出入力といった日本語にかかわるシステム基盤を構築する。

ローディン氏はソフトバンクとロボット分野で協業するとも語った。ソフトバンクが手掛けるパーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」への人工知能コンピューター技術の活用範囲などを拡大するとみられる。

Chef Watson

WatsonはChefになるべく、『Bon Appetit』誌に掲載された9,000件のレシピをクロールして、食材の組み合わせ方、料理スタイル、料理の盛りつけ方等に関するデータをパターン学習した。

アプリには、使いたい食材と避けたい食材を入力する。そして、つくりたい料理の種類(ブリートやパスタなど)と、『Bon Appetit』誌のタグ(イタリアン、アジアン、簡単など)に基づいたスタイルを決める。

するとシェフ・ワトソンは、ものすごい数の可能な組み合わせを見つけ出し、一般的なものから実験的なものまで、10グループの上位100件を表示してくれる。

「コンピューターは、人間が想像・創造し、発明することを助けられるだろうか」と、『Bon Appetit』誌のアダム・ラポポート編集長は問いかける。「味の組み合わせは無限にある。人間はただ、いままでは思いつかなかったという理由で探究していないだけなのだ」

シェフ・ワトソンは、データベースから集めた情報をそのまま吐き出すわけではない。集めたデータについて、文脈に沿って学習し、知識を深めることができる。IBMのワトソングループの責任者であるスティーヴ・アブラハムは、「われわれが目指しているのは、認知システムはいま何ができて、新しいものの発見にどれくらい役に立つのかを示すことだ」と語る。「料理はそのひとつの例なのだ」

IBM Watsonとは?

ワトソンは、IBMが開発した質問応答システムで、2009年4月に米国の人気クイズ番組「ジェパディ!」(Jeopardy!)にチャレンジするコンピューターとして発表された。

これは1997年に、当時のチェス世界チャンピオンのガルリ・カスパロフに勝利したIBMのコンピュータ・システムであるディープ・ブルーに次ぐプロジェクトである。しかし、クイズ番組では自然言語で問われた質問を理解して、文脈を含めて質問の趣旨を理解し、人工知能として大量の情報の中から適切な回答を選択し、回答する必要がある。IBMはこの技術を、将来的には医療、オンラインのヘルプデスク、コールセンターでの顧客サービスなどに活用できるとしている。

2011年1月13日にはトーマス・J・ワトソン研究所でワトソンの公開とアメリカ合衆国のクイズ番組「ジェパディ!」での人間と対戦デモが行われた。ワトソンは、10台のラックに搭載されたPower Systems 750で構成され、2880個のPOWER7プロセッサ・コアを搭載し、オペレーティングシステムはLinux、処理性能は80テラFLOPS(TFLOPS)で、インターネットには接続されておらず、本・台本・百科事典(Wikipediaを含む)などの2億ページ分のテキストデータ(70GB程度、約100万冊の書籍に相当)をスキャンして取り込んだ。

2011年2月14日からの本対戦では、15日と16日に試合が行われ、初日は引き分け、総合ではワトソンが勝利して賞金100万ドルを獲得した。賞金は全額が慈善事業に寄付される。

2013年11月14日には、一般のデベロッパーに提供することを発表した。

「Wikipedia」より