WatsonはChefになるべく、『Bon Appetit』誌に掲載された9,000件のレシピをクロールして、食材の組み合わせ方、料理スタイル、料理の盛りつけ方等に関するデータをパターン学習した。
アプリには、使いたい食材と避けたい食材を入力する。そして、つくりたい料理の種類(ブリートやパスタなど)と、『Bon Appetit』誌のタグ(イタリアン、アジアン、簡単など)に基づいたスタイルを決める。
するとシェフ・ワトソンは、ものすごい数の可能な組み合わせを見つけ出し、一般的なものから実験的なものまで、10グループの上位100件を表示してくれる。
「コンピューターは、人間が想像・創造し、発明することを助けられるだろうか」と、『Bon Appetit』誌のアダム・ラポポート編集長は問いかける。「味の組み合わせは無限にある。人間はただ、いままでは思いつかなかったという理由で探究していないだけなのだ」
シェフ・ワトソンは、データベースから集めた情報をそのまま吐き出すわけではない。集めたデータについて、文脈に沿って学習し、知識を深めることができる。IBMのワトソングループの責任者であるスティーヴ・アブラハムは、「われわれが目指しているのは、認知システムはいま何ができて、新しいものの発見にどれくらい役に立つのかを示すことだ」と語る。「料理はそのひとつの例なのだ」