利用可能性ヒューリスティック

人は「よく見かける」「インパクトが強い」「友人が使っている」のように記憶に強く残り、思い出しやすいものを、直感的に選んでしまう。このように、なじみがあるものを選択する意思決定プロセスを「利用可能性ヒューリスティック」と呼ぶ。

企業は消費者に近づくために、テレビCM、Webページ、SNSを活用するのもこの利用可能性ヒューリスティックを活用するためである。ブランドロゴやジングル(サウンドロゴ)の利用も利用可能性ヒューリスティックの活用である。

また、雑音の中で自分が興味がある内容だけが聞こえてくる「カクテルパーティ効果」も利用可能性ヒューリスティックによるものである。

ヒューリスティックとシステマティック

 ヒューリスティックとは、人間の意思決定を手助けするように働く思考プロセスのことである。このプロセスによって自身の経験をもとに最適な手段を見つけ出すことが可能になる。ヒューリスティックの最大の特徴は判断の速さであり、深く考える必要のない場面で「直感」的に瞬時に答えを導き出す、その反面、瞬時に判断することによるデメリットもある。

 一方、情報を集めてじっくり、熟考する思考を「システマティック」という。人は場面ごとに「直感」と「熟考」を使い分けている。このように、人間が2つの思考タイプを使い分けるという理論を二重過程理論という。ヒューリスティックの特徴は以下の通りである

ヒューリスティックの特徴

  • 直感・即決
  • 高速
  • 努力を要さない
  • 経験的

システマティックの特徴

  • 熟考
  • 低速
  • 努力を要する
  • 合理的

瞬時に判断するには情報が多すぎる情報過多の状態で効率よく判断するにはヒューリスティックが多用される。ヒューリスティックを分類すると3つが代表的なものと分類される。

  • 利用可能性ヒューリスティック
    • なじみのあることはよく起こると判断されるケース
  • 代表性ヒューリスティック
    • 代表的な例が全体を反映していると勘違いするケース
  • 固着性ヒューリスティック
    • 自分の考え方や直前に見聞きしたものに固着することから勘違いするケース