汎用人工知能実現に向けた2つのキーファクタ

私は仕事柄様々な文献を参照しているが、その過程で、現在、汎用人工知能実現に向けたキーファクタは以下の2つではないかと考えている。

1.マルチモーダル

2.生成モデルの構築

前にも書いたが、マルチモーダルとは各感覚器からの入力を上位層で、同じ抽象概念に結びつけることである。別表現では、複数の種別の情報で同じ抽象概念を持つものを統合化することとも言える。人間は、マルチモーダルの度合いが高まれば高まるほど、その概念、物体に対する理解が高まると考える。逆に言えば、「理解」とは、その抽象概念を様々な具体例で表現できるということである。マルチモーダルで学習をするには自律性が不可欠であり、そのためには生成モデルの構築が必要と考える。

 これまでの脳神経科学、ベイジアンネットワーク理論、ニューラルネットワークの研究から、人間の認知過程には、「認識モデル」と「生成モデル」が深く関わっていることがわかってきた。

それぞれの関係を具体的に示すと。

  認識モデル  この物体・概念は、これはこういうものだ(認識)

  生成モデル  物体・概念の認識が正しければ、これは振る舞うはずだ(確認)

という関係にあり、これらの2つのモデルは学習することで精度を高めていく。その学習は連動していて、連動することで、自律的に学習することができると考える。

その学習過程をわかりやすく例えると、try&errorである、try&errorの本質は、脳内において対象の特徴・概念を行動・働きかけを通じて認識し、認識することで適切に行動・働きかけが可能となるように生成モデルを構築し修正することである。

この活動を意識的にかつ組織的に実行しているのが「PDCA」と言える。P(プラン)は、ゴールを想定し、現在と、ゴールとの差を認識し、そこに至る過程をモデル(通常は計画)として生成する。粒度に応じてブレイクダウンしモデル化する。D(実行)段階に応じ、C(チェック、認識)し、その誤差を元に、A(アクション)でモデルを修正する。

現状の人工知能は認識モデルの構築が主となっているが、今後、様々な概念を守る地モーダルで自律的に学習により獲得し、より拡張、高性能、高精度化していくためには、生成モデルの技術の進展が必要不可欠考えている。