以前、有料動画配信サイトで「人工衛星を制御せよ! 〜“宇宙キッズ”のひと夏〜」というNHK-BSで放送された世界のドキュメンタリー番組を視聴した(現在は配信されていないようである、残念!!)。それはとても興味深い内容であった。原題:Zero Gravity(アメリカ 2021年)という3年前にアメリカで制作されたドキュメンタリーである。以下にそのあらすじを紹介する。(以前の記憶で記載するので細部の違いについてはご容赦ねがいます)
あらすじ————–毎年夏にNASA JPL(ジェット推進研究所)とMITが子ども向けにワークショップを実施している。それは、全米から数千人が参加し、5週間かけてコンピュータープログラミング、ロボットや宇宙のことを学んだ上で人工衛星を制御するプログラムを作成するものである。このドキュメンタリーの題材となっているプログラムは、ある条件下で目的を達成したことで得られる合計得点を競い合う1対1の対戦型ゲームの戦略を自動実行する人工衛星の制御プログラムである。ゲームに関するプログラミングはScratchで作成できるように拡張されている。ゲーム上で人工衛星はプログラムにしたがって自動で制御されるため、ゲームの勝敗はどういう場面でどう動かすかという事前に立案する戦略に依存する。
参加者は小学校単位で参加グループが構成されワークショップに参加する。プログラムは提出期限までに作成され、提出後の変更は不可能である。その後、作成されたプログラムによって各州でトーナメント方式で対戦が行われて各州の代表チームが選抜される。各州の代表チーム選抜後はNASA JPLに集まり州代表対抗のトーナメントが実施される。各州のトーナメントでは人工衛星や宇宙空間などのゲーム環境はコンピュータ・シミュレーション上で実現されるが、最後のJPLでのステージではゲームの舞台は宇宙空間にあるISS(国際宇宙ステーション)内部で現実のマイクロ衛星を制御して対戦が行われる。
プログラム作成にはメンターとして、事前にJPLでセミナーを受講した小学校の教師が参加する。教師はあくまでもメンターとしての参加であり、戦略立案は生徒が話し合って決めていく。このドキュメンタリーでは、JPLの地元であるカルフォルニア州のある小学校を舞台に、メンターである先生がJPLのセミナーを受講しグループメンバーを募集するところから始まる。7,8名で構成されるグループメンバーから3名の小学生にスポットを当て、その小学生の家庭環境、将来の夢、このワークショップに参加したことによって将来へのモチベーションがどう変化したか等を中心にインタビュー形式で取材していく。スポットがあてられた生徒たちは、家庭が裕福であるとか、両親が教育に熱心であるとか、高学歴であるとかではなく、移民系であったりなどむしろアメリカの多様性がある社会を反映した家庭環境である。生徒自身も特に宇宙やプログラミングに興味を持っているというわけでもなく、生物学や経済に興味を持っていて、勉強も遊びも普通の子どもたちと同じように楽しんでいる。そんな生徒たちが、5週間のワークショップに参加し、先生の指導を受けながらプログラムを開発し、最終ステージでは宇宙飛行士が見守る中、目的を達成する早さと精度を競う。参加した3人の子どもを追い、自らの可能性に目覚めて更なるチャレンジに意欲を燃やす姿を描くというストーリーである。———————————-
NASAのJPLというのは、主に惑星探査を中心に研究をしている研究所であり、日本のJAXAでいえば相模原の研究所に相当する。こちらは毎年、小学生向けでなく中学生、高校生、大学生向に様々なSTEM教育の教材を公開・提供している。近年ではJAXAも小学生のプログラミング教育向けに宇宙を題材としたSTEM教育教材を公開しており。このような教材がもっと広まって今以上に科学に興味を持つ生徒たちが増えていけば良いと考えている。このブログでもそのような教材を紹介することで、そのような動きを促進することに協力していきたい。
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