MITスローン・スクール、デジタル・ビジネス・センターの研究者2人が2011年に自費出版したRace Against The Machine(日本語訳:「機械との競争」)の未来予測は、アメリカ国内外で大きな反響を呼んだ。
著者の2人は、技術の進歩が速すぎて起きる雇用喪失説の立場をとる。つまり、コンピュータとの競争に人間が負け始めていることこそ、雇用が回復しない真の原因であると主張する。
また、英オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授は、702の職種すべてについて、コンピューターに取って代わられる確率を仔細に試算し論文として発表している。
ここでは、その論文で取り上げられている以下の主な仕事のいくつかについてどれだけコンピュータに変わられつつあるか考えてみた。
■タクシードライバー
現時点では市販されている自動運転が可能な車両を販売しているメーカーはTeslaのみであるが、技術的には日進月歩であり、技術的にはほぼ自動運転は可能になりつつある。したがって、タクシードライバーという職業も自動運転自動車の普及により失われて行く方向にあると考える。
■レジ係
日本国内ではセルフレジも普及してきている。また、RFIDがよりコストが下がれば一瞬で精算が完了することも夢ではない。購入代金の精算についても決済技術が進歩しており、クレジットカード決済だけでなく、指紋認証や顔認証による決済も可能になりつつある。
■税務申告作成者
すでに一部のクラウドにより税理士のチェックの前までは容易に書類作成ができるようになってきているし、レシート画像による証左としての位置づけも認められるようになりつつあり、更に入力作業も簡便になる。最終的に、税理士という資格を保有する人間のチェックではなくAIによるチェックを許可するか否かによるところだと思われる。その過程として、AIがチェックした内容を税理士が確認、申告するという業務フローになることと想定される。
■クレジットカード審査員
インターネット経由の申請であれば、そのデータを過去の取引状況や与信状況と突合し現状人間が審査している部分を統計すれば可能と考えれる。現状でもかなりな部分は自動で審査され、最終確認のみが人間の仕事になっていると思われる。手書き文字についてはディープラーニング等による文字認識でデータ化による前処理が可能となり、こちらも自動化が進むと予想される。