【Wired記事より】AIの進化を前に、日本企業は「働き方」を問うているだけでは未来はつくれない

2017/8/7のWIREDのWeb版に掲題の記事が掲載されました。今後のAIの開発・導入とそのような社会の構築に対し、非常に重要な点を指摘していると考えますので要点を抜粋し以下に示します。。

https://wired.jp/2017/08/07/cic-future-of-work/

冒頭のコメントより

「5〜10年以内に全ての業界において株価は崩壊し、経営陣は刷新される──。日本を代表する企業の首脳たちが集まった円卓で、カーネギーメロン大学教授ヴィヴェク・ワファが伝えた言葉は、いまぼくらが直面する「人工知能」との共生について、大きな示唆を与えてくれるものだ。3つのポイントから読み解く。」

1.AIは日本型雇用システムにいかなるインパクトを与えるか

ワファが指摘するのは、産業構造のディスラプションとテクノロジーによるリスクが、かくも十分に考慮されていない現状だ。

「AIによってもたらされる問題をとらえるとき、失業は問題全体の5パーセント程度でしかありません。もっと大きな問題があることを知ってほしい。スタートアップの企業が大手を食うといったことも起き始めているように、テクノロジーが企業だけでなく産業そのものを消滅させるかもしれないのです。だが、それに向けて準備を整えている企業は、ここにおられる企業を含めて日本企業のわずか1パーセントであり、残りの99パーセントは気がついてさえいないのです」と述べた。

2.AIは日本の生産性を改善するか

ワファは想定される2つの“シナリオ”として、次の2つを挙げた。

「200年の歴史しかない米国が考える未来は、シナリオAが『スタートレック』のような社会、シナリオBが『マッドマックス』の世界です。・・・・・(略)。技術のリスクを理解することも重要です。リスクを知ったうえで、メリットの方がリスクを上回ることを認識して欲しいと思います。ロボットに依存し過ぎると失業より深刻な問題がありますが、一方で、日本は長い歴史をもっています。日本がかつてももっていた価値観に立ち返ってみてはどうでしょうか。日本は生産性だけではなく、国民全体がAIにより恩恵を受けること、たとえば教育や医療などにも取り組むのがよいのでしょう。さらに、たとえばこの国がもっていた悟りへと至るような世界観は、未来の仕事にも生かせると思うのです」

3.未来を生きる学び

ワファの答えは、「子どもが勉強したいことをさせるのが大切」と言う。「“常に勉強すること”を習慣づけることが重要なのです。日本でも、これから終身雇用はなくなり、一人ひとりのキャリアは5~10年で変わるものになるでしょう。その度ごとの学習を、一生続ける必要があります。・・・・・・(略)。15歳にもなれば、あっと驚くような仕事ができるようになっているかもしれません。そうした世界で生きるためには、学習することを楽しむ子どもに育てることが大切です。学びたいことをやらせるのが、いちばんなのです」