2018年は真の「AI元年」になるか?

新しい年2018年を迎えた。

昨年2017年は、2016年から本格的に始まったAIブームが続き、ベンチャーだけでなく、大企業でもAI研究やAIベンチャーへの投資、買収の取り組みが始まり、遅れていた日本でもようやくAIビジネスが立ち上がる様子を見せた年であった。

研究の面では、日本は一周遅れ(実際は更に遅れが広がりつつあると思う)と言われているが、AIビジネスの面ではどうであろうか。

以前以下にも記述したように、ゼロ金利によるビジネス構造の変化や少子高齢化に伴う労働人口減少を補う形で銀行・保険業界では効率化を目的にAIを導入開始つつある。AIがどこまで使えるのかという話は別の機会に書くとして、AIが普及するということについて考えたい。

私は個人的には、AIの普及は、インターネットの普及以来の大変革を起こすと考えている。技術面でのインターネットの普及とのアナロジーでは、以下の通りと考えるが、普及のキーポイントは、キラーコンテンツ(キラーサービス)の登場だと考える。また、インターネットとの違いは、インターネット自体は我々の前に登場した時点ではそれを支えるネットワーク技術は大方完成しており、普及への技術課題は通信速度であったのに対し、AIはまだまだ研究途上であり進化の可能性が見込まれているに過ぎない技術であり、普及に際してはその精度向上が期待されるという点がある。

<インターネット>            <AI>

wwwの発明      → 深層学習の発明

様々なブラウザ普及     → CNN、RNNなどの普及

Webサーバ技術の普及 → Tensorflow,Chainerなどフレームワークの普及

キラーコンテンツ    → ??

 

しかし、i-modeや写メール、Amazon、Googleのように一旦キラーコンテンツ(サービス)が出てきて、一般に普及が始まると加速度的に普及し我々の生活をあっという間に変革してしまうのではないかと考える。

上にあげたサービスの内、最初の2つは主に日本ローカルの携帯電話+キャリアビジネスというハードに依存したビジネスであり、後者の2つは完全にアプリケーションだけによるサービスであるが、グローバルの広がりという意味では、いわずもがな後者が圧倒している。私もAIも同様の傾向があるのではないかと考えている、直近では、AI技術が普及する可能性があるキラーサービスとしては自律運転自動車とAIスピーカーが挙げられるが、これらはいずれもハードウェアに依存するコンテンツであり、それぞれのシステムの要件に依存するため、よほどの差別化ポイントがないかぎり乗り換えが難しく、いきなり席巻とまではいかないのではないかと考える。

個人的な希望としては、ウェアラブルデバイスと相性が良い、パーソナルヘルスケアに関するキラーサービスで世の中に普及して欲しいと考える。ウェアブルデバイスで計測したデータを専門家が学習・解析・分析し、デバイス単体で動作するAIアルゴリズムを開発しデバイスに配信することでデバイスローカルで個人の健康状態を判断することができるようになれば、リアルタイムで個人を特定することなく健康状態が判断できるため予防医学を幅広く実施可能となるとともに、深刻な状況の発生を予見できるようになるのではないかと期待する。

国内のベンチャー的には、インターネットの黎明期にはHP作成やCGI作成の費用がページ単価数十万円したり、簡単なメルマガサービスを立ち上げるベンチャーが株式上場をしたなどのように、現時点のAIベンチャーにおいても、ビジネスの成長期にあると考えられる。ただし、5年後にそのビジネスのバリューが上がるかどうかが長期の成長の鍵であり、そのためにもキラーサービスをいち早く開発したベンチャーが生き残るのではないかと考える。

 

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