Google/NASAが購入した量子コンピュータ「D-Wave」

D-Waveは、カナダの西海岸のバンクーバーの周辺に本拠を持つ会社で、従業員は100人程度であるが、その中で博士号をもつ人が27名というハイテク集団である。そして、D-Wave社は、世界で唯一、量子コンピュータを製造している会社である。

2011年5月には防衛産業のロッキードマーチンと南カリフォルニア大のチームがD-Wave Oneを購入し、2013年5月にはNASAとGoogleのチームがD-Wave Twoを購入している。

量子コンピュータの実現の仕方は色々と提案されているが、論文などを見ると、95%は量子ゲートを作り、それを組み合わせて量子コンピュータを作るという方法である。それに対してD-Waveの量子コンピュータはAdiabatic(断熱的)量子コンピューティング(AQC)という方式を使っている。

デジタルのビットは0か1のどちらかの値を記憶するが、量子コンピュータの単位情報を記憶するQubit(キュービット)は、 0と1がある比率で重なり合った状態を記憶する。また、量子コンピューティングを行うには、1つのQubitの状態が他のQubitの状態に影響を与えるもつれ合った(entangled)状態を維持する必要がある。しかし、Qubitの数が多くなると、もつれ合った状態を維持することが難しい。Qubitの作り方としては、トラップされたイオンで実現する方法や超電導素子で記憶する方法、あるいは光学的に実現する方法などが発表されているが、計算に必要な時間の間、もつれを維持できるものは、最大でも10Qubit規模のものしか実現されていない。これに対して、D-Wave Twoでは、超電導素子を使って512-Qubitの素子を実現している。