MicrosoftがAzure MLを正式リリース

Microsoftは今日(米国時間2/18)企業のビッグデータ処理向けにクラウド上の機械学習のAPIを公開した。

Microsoftは、クラウド機械学習サービス、Azure Machine Learningを正式に発表した。このサービスは6月にベータ版が公開されていたが、今回の正式リリースを機にデータ処理言語Rに加えて、今回のアップデートで新たにPythonがサポートされた。

新しいAzure MLプラットフォームはPythonに加えてHadoopとSparkもサポートした。 これでビッグデータを処理するための標準的ツールはプラットフォームを選ばず、ほぼ全面的にカバーされることになる。

Azure MLはXboxやBingですでに使われている機械学習機能を利用している。またデベロッパーが未来予測アプリを開発するために使うテンプレートとワークフローも用意される。これによって機械学習アプリを開発するスピードは大幅に加速され、サービスのプロバイダはAzure MLプラットフォーム上で各種のウェブサービスを開発できるだけでなく、APIを公開することも可能になる。

このプラットフォームの真の強みは簡単にAPIを作成し、即座にカスタムデータ処理を開始できるところにある。

http://jp.techcrunch.com/2015/02/19/20150218microsoft-officially-launches-azure-machine-learning-big-data-platform/ より抜粋

総務省が「2045年の人工知能」「シンギュラリティ」の研究会、第1回会合で激論

総務省は2015年2月6日、東京・霞が関の庁舎内で「インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会」の第1回会合を開いた。人工知能(AI)分野の研究者やIT企業の経営者ら10人が集まり、議論した。

研究会の開催要項には「2045年にはコンピュータの能力が人間を超え、技術開発と進化の主役が人間からコンピュータに移る特異点(シンギュラリティ)に達するとも議論される」とある。政府機関が人工知能の中長期的な進化に伴う、いわゆる「2045年問題」を主題とする研究会を開くのは極めて異例のことだ。

研究会の座長に選任された村井純・慶應義塾大学環境情報学部学部長は「『シンギュラリティの研究会を中央省庁で開く』と海外の研究者に話すと、一様にびっくりされた。新しい技術には大きな可能性もあれば、ネガティブな面もある。その辺をしっかり議論していきたい」と話した。

次回会合は2015年3月に行われる。5月末までをメドに、この分野における日本の国際競争力強化の在り方について、課題の整理と今後の取り組みに関わる提言を行う方針である。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/020900464/?ST=ittrend&P=1

http://www.soumu.go.jp/main_content/000340305.pdf

ロボットは東大に入れるか

国立情報学研究所(大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構)は、同研究所が中心となって1980年以降細分化された人工知能分野を再統合することで新たな地平を切り拓くことを目的に、若い人たちに夢を与えるプロジェクトとして「ロボットは東大に入れるかプロジェクト」を発足させた。

本プロジェクトの具体的なベンチマークとして、2016年度までに大学入試センター試験で高得点をマークすること、また2021年度に東京大学入試を突破することを目標に研究活動を進めている。活動内容は以下の事項とされている。

・これまで蓄積された人工知能の各要素技術の精度を高め、情報技術分野の未来価値創成につなげる。

・人間の思考に関する包括的な理解を内外の研究者とともに深めていく。

・日本における学際的な知識・先端技術を集積するだけでなく、国際的な連携も視野に入れ、研究活動を進める。

http://21robot.org/

メタップスが43億円調達

スマートフォン(スマホ)向け広告大手のメタップス(東京・新宿、佐藤航陽社長)はこのほど、米国のベンチャーキャピタル(VC)や国内の事業会社などに対して第三者割当増資を実施し合計43億円調達した。資金は研究開発に充て、人工知能などの人材獲得、研究開発に資金を投じウエアラブル端末や自動車などのデータを解析できる体制を整える。

シリーズCとなるラウンドで調達した金額は総額43億円で、引受先企業は今後、事業提携発表などを通じて公表していくとしている。

同社はこれまで主にスマホアプリの利用データを収集。人工知能の技術で分析し広告配信などに活用してきた。2016年までに8億人分と現在の約5倍のデータの解析を目指す。

上場前のベンチャーの資金調達としては、直近ではモバイルゲームの開発配信を手掛けるgumiの昨夏の調達(50億円)に次ぐ規模になる。

マイクロソフト、音声アシスタント機能「コルタナ」

米マイクロソフトがハイテク界の頂点に返り咲くための秘密兵器は機械学習と人工知能(AI)だと同社の研究開発幹部陣が2014年4月7日明らかにした。

マイクロソフトのハリー・シャム上級副社長(技術・研究担当)は、自身のチームが取り組んでいる大きなトレンドには人間とコンピューターの相互作用が関わっていると語った。シャム氏はマイクロソフトがテルアビブで開催したハイテク会合「シンクネクスト2014」で「われわれはパーソナルコンピューターからパーソナルコンピューティングに移行しようとしている」と話した。

マイクロソフトのイスラエルの研究開発センターの責任者、ヨラム・ヤコビ氏は、同社が「目に見えないユーザーインターフェース(UI、ユーザー向けの表示や入力の方法など)」に重点投資していると話した。ヤコビ氏は、将来は人間が端末に触れたり、タイプしたり、話しかけたりしなくても端末が人間の要望を事前に「理解する」ようになるとし、それを「UI.ネクスト」と呼んだ。

ヤコビ氏は「UIはコマンドプロンプトから始まり、次にグラフィックス、次にタッチ、次にジェスチャーに移った」と語った。また「今や、操作するもののない、見えないUIに移行しようとしている。あなた方を取り巻くハイテク機器があなた方の要望を把握する」と話し、人々はそれを期待している、と説明。「われわれはこれを取り組みの最優先事項にしている」と述べた。

ヤコビ氏とシャム氏によると、マイクロソフトが発表した音声アシスタント機能「コルタナ」は機械学習についての取り組みの一部だ。マイクロソフトはコルタナを米アップルの「Siri(シリ)」、米グーグルの「ナウ」に対抗する技術と位置づけている。

http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304364704579488731416415614

D-Wave Systemsが$29Mを調達

量子コンピューティングのD-Wave Systemsが今日、昨年末に2900万カナダドルの資金を調達していたことを発表した。

その前には同社は、昨年夏に2840万ドルを調達し、その後11月には約220万ドルを調達している。

新たな資金によりD-Waveはそのハードウェアとソフトウェアの開発努力をさらに強化できる。プロセッサとしては同社は現在、次世代タイプの1000キュービットのシステムを開発中。

実際にプロセッサを売っていくためには、GoogleやNASAなどのクライアントがquantum annealingを利用するソフトウェアを作る必要がある。それは多くのソフトウェアエンジニアにとって未踏の領域だから、D-Waveは顧客と協力しながら、量子計算機を買うことのメリットを訴えていかなければならない。

量子コンピューター第三の方式?

「量子ゲート」とも「量子アニーリング」とも異なる、新たな方式に基づく量子コンピュータの開発プロジェクトをマイクロソフトが支援する、というニュースが報じられた。

●”Microsoft Makes Bet Quantum Computing Is Next Breakthrough“ The New York Times, JUNE 23, 2014

「トポロジカル量子コンピューティング」と命名された、この新たな方式では、量子力学の統計的な性質に基づく「フェルミ粒子(Fermion)」と「ボーズ粒子(Boson)」の中間的な存在である、「エニオン(Anyon)」と呼ばれる分数統計粒子によって量子並列性を実現するとしている。ただしエニオンはいまだ仮説の域を出ず、こうした言わばリスキーなプロジェクトをマイクロソフトが支援する理由は不明だ。

量子コンピューターとは?

量子コンピュータとは「原子核」や「電子」、「クォーク」のようなミクロ世界の現象を記述する量子力学の原理を、計算の原理に応用した画期的なコンピュータだ。19世紀終盤から20世紀初頭にかけて、欧州を中心に確立された量子力学は、現代物理学のバックボーンとして、その後の固体物理学や半導体工学を生み出す礎となった。

1982年、世界的に有名な物理学者である米国のリチャード・ファインマン氏(故人)が、この量子力学の基本法則を計算の原理に応用することを提案し、ここから量子コンピュータの実現可能性が検討され始めたとされる。その後、英国のデイビッド・ドイッチュ氏ら先駆的な物理学者が、量子コンピュータを開発するための具体的な方式を幾つか提案した。いずれも「量子並列性」と呼ばれるミクロ世界の不可思議な現象を、計算の原理へと転化したものだ。

私たちの生きる日常世界では、白はあくまで白であり、決して黒ではない。しかし量子力学によって説明されるミクロな世界では、「白は白であると同時に、黒でもある」という奇妙な状況が成立する。要するに、一つのモノが同時に幾つもの異なる状態を取り得る。これが「量子並列性」と呼ばれる現象だ。

量子コンピュータでは、この量子並列性を利用して、一台のコンピュータの内部に自らの分身を無数に作り出す。これら無数の分身が個々に一つの仕事をこなすので、その結果として超高速の計算が実現されるのだ。

この量子並列性を実現する具体的は手法は、現在までに幾つか提案されている。そのうち主流となっているのは「量子ゲート」と呼ばれる方式で、米IBMなど大手メーカーや主要な研究機関などが取り組んでいる量子コンピュータはいずれも、この量子ゲート方式に従っている。

ところが量子ゲートは非常に不安定で、折角作ったと思ったら、すぐに壊れてしまうという問題を抱えている。

そうした中、世界的には無名のベンチャー企業、D-Waveが「量子アニーリング」と呼ばれる全く別の方式に従う量子コンピュータを製品化することに成功した、と2011年に発表。量子アニーリングをコンピュータの計算原理に応用することには、日本の研究者が大きく貢献していることから、日本では特に強い関心を集めている。

Google/NASAが購入した量子コンピュータ「D-Wave」

D-Waveは、カナダの西海岸のバンクーバーの周辺に本拠を持つ会社で、従業員は100人程度であるが、その中で博士号をもつ人が27名というハイテク集団である。そして、D-Wave社は、世界で唯一、量子コンピュータを製造している会社である。

2011年5月には防衛産業のロッキードマーチンと南カリフォルニア大のチームがD-Wave Oneを購入し、2013年5月にはNASAとGoogleのチームがD-Wave Twoを購入している。

量子コンピュータの実現の仕方は色々と提案されているが、論文などを見ると、95%は量子ゲートを作り、それを組み合わせて量子コンピュータを作るという方法である。それに対してD-Waveの量子コンピュータはAdiabatic(断熱的)量子コンピューティング(AQC)という方式を使っている。

デジタルのビットは0か1のどちらかの値を記憶するが、量子コンピュータの単位情報を記憶するQubit(キュービット)は、 0と1がある比率で重なり合った状態を記憶する。また、量子コンピューティングを行うには、1つのQubitの状態が他のQubitの状態に影響を与えるもつれ合った(entangled)状態を維持する必要がある。しかし、Qubitの数が多くなると、もつれ合った状態を維持することが難しい。Qubitの作り方としては、トラップされたイオンで実現する方法や超電導素子で記憶する方法、あるいは光学的に実現する方法などが発表されているが、計算に必要な時間の間、もつれを維持できるものは、最大でも10Qubit規模のものしか実現されていない。これに対して、D-Wave Twoでは、超電導素子を使って512-Qubitの素子を実現している。

三井住友銀が顧客電話応対にWatson導入

三井住友銀行は2014年11月5日、高度な自然言語処理や音声認識の機能を備えた米IBM社製の人工知能システム「ワトソン」を利用し、2015年に国内での顧客電話応対業務に順次導入すると発表した。ワトソンは医療やロボット産業、通信、小売りなど幅広い分野でグローバルな応用が見込まれており、今後、日本の金融界でも普及が進みそうだ。
三井住友銀が都内と神戸、福岡両市で運営している計3カ所のコールセンターで9月に着手した実証実験を年内に終了。検証を踏まえて年明け以降、計数百人の応対要員を対象に、自動音声対応による本人確認補助のほか、取引状況などの解析を踏まえて、要員が最適な商品・サービスを迅速に紹介できるよう支援する。
ワトソンは、人間の考え方に似た方法で情報処理を行うことが可能な次世代コンピューターとして知られる。肉声での質問を理解し、前後の文脈や曖昧な情報についても膨大な関連電子情報「ビッグデータ」を解析して短時間に推論、学習を繰り返す仕組み。自動音声も発しながら最適な回答を導き出す。